「さっきまで持っていたはずなのに、どこに置いたんだろう?」
ADHD気質の私は、物をなくすことがよくあります。
スマホ、鍵、財布、イヤホン……。
「ちゃんと元の場所に戻さなきゃ」と思っているのに、気づいたら「あれ、どこ?」と探しています。
そして、探し始めると、
「どこに置いた?」
「さっきまで使っていたのに……」
と焦ってしまいます。
家の中を何度も行ったり来たりして、気づけばかなりの時間が過ぎていることもあります。
片耳イヤホンが見つからなくなった日のこと
少し前にも、片耳のイヤホンが見つからなくなりました。
そのときも、音楽を聴いていたので、
「さっきまでここにあったはず」
と思っていました。
まず、使っていた場所を探しました。
食卓テーブルの上も確認しました。
そのほか、思いつく場所を何か所か探しましたが、見つかりません。
「どうしてないんだろう……」
だんだん焦ってきました。
こういうときって、探せば探すほど冷静さがなくなっていきます。
「あそこにもない」
「ここにもない」
と、同じところを何度も確認してしまいます。
私もかなり探しました。
そして最終的に、イヤホンが見つかった場所は――
なんと、ゴミ袋でした。
どうやら、汚れた綿棒を片付けたときに、綿棒を包んだティッシュの中にイヤホンも一緒に入れてしまった可能性がありました。
自分では、そんなところに入れた記憶はまったくありませんでした。
「まさか、こんなところに……」
見つかったときはホッとしましたが、同時に、
「またやってしまった……」
という気持ちにもなりました。
でも、あとから考えてみると、これは単純に「私が不注意だった」で終わらせる話ではないのかもしれません。
イヤホンを置く場所が決まっていなかった。
片付けるときに、手に持っていた物を一緒に処理してしまった。
そして、そのことを覚えていなかった。
だったら、
「もっと気をつけよう」ではなく、「間違って別の場所に置きにくい仕組みを作ろう」
と考えたほうがいいのではないかと思いました。
この記事では、ADHDのなくしものを減らすために、私が取り入れたい7つの仕組みを紹介します。
全部を一度にやる必要はありません。
「これならできそう」と思うものを、まず1つだけ試してみてください。
ADHDでなくしものが増えやすいのはなぜ?
ADHDでは、注意を向け続けることや、物事を整理すること、忘れずに覚えておくことなどに難しさを感じる場合があります。
そのため、
- 鍵をどこに置いたかわからない
- スマホを探す
- 財布が見つからない
- 眼鏡をどこに置いたかわからない
- イヤホンをなくす
- 書類が見つからない
- 出かける直前になって必要な物がない
ということが起こりやすくなります。
これは「だらしないから」「注意力がないから」と単純に片付けられる問題ではありません。
だから私は、
自分の注意力を鍛えるより、注意力に頼らなくてもいい環境を作る
ことが大切だと思っています。
ADHDのなくしものを減らす仕組み7選
① 大切な物の「定位置」を1か所に決める
まず一番おすすめしたいのが、
「ここに戻す」という場所を決めること。
例えば、
- 鍵 → 玄関のフック
- 財布 → バッグの中
- イヤホン → 専用ケース
- メガネ → ベッド横
- 印鑑 → 決めた小物入れ
- 郵便物 → 専用トレー
というようにします。
ポイントは、
「片付ける場所」ではなく「戻す場所」を決めること。
毎回「どこに片付けよう?」と考える必要がなくなります。
ADHD向けの支援資料でも、鍵や財布などの重要な物を毎日同じ場所に置く方法が紹介されています。
私ならこうする
玄関に小さなトレーを1つ置いて、
「帰宅したら、鍵・財布・イヤホンを全部ここ」
というルールにします。
これだけでも、「さっきどこに置いた?」を減らしやすくなります。
② 「使ったら戻す」ではなく「行動とセット」にする
「使ったら元に戻そう」
と思っても、ADHDの場合は、その「あとで」が抜けてしまうことがあります。
そこで、
別の習慣とセットにする
方法がおすすめです。
例えば、
帰宅したら
靴を脱ぐ
↓
バッグを置く
↓
鍵を定位置へ
↓
スマホを充電場所へ
寝る前
眼鏡を外す
↓
眼鏡置きへ
↓
スマホを充電
↓
イヤホンをケースへ
というようにします。
「覚えておく」より、
「この行動をしたら、これをする」
という流れにしてしまうのです。
③ 「見えない場所」にしまいすぎない
片付けるために、
「全部引き出しの中へ」
「きれいに収納しよう」
としていませんか?
実は、見えない場所にしまったことで、
「どこに入れたっけ?」
となることがあります。
特に、普段よく使うものは、
- 透明ケース
- オープン収納
- トレー
- 壁掛け
- フック
など、見える収納にするのも方法です。
ADHDの支援情報でも、視覚的な手がかりや、見える場所に物を置く工夫が紹介されています。
例えば、
「毎日使うイヤホンを引き出しの奥にしまう」
より、
「専用の小さなケースを机の上に置く」
ほうが、自分にとって使いやすいなら、それでいいのです。
きれいな収納より、戻せる収納。
これを意識してみます。
④ 「持ち歩く物」を減らす
物をなくしやすいなら、
そもそも持ち歩く物を減らす
のも大切です。
例えば外出するとき、
- 財布
- スマホ
- 鍵
- イヤホン
- ハンカチ
- リップ
- エコバッグ
- 小物
- ポーチ
など、どんどん増えていませんか?
持ち物が増えるほど、管理する対象も増えてしまいます。
そこで、
「本当に今日必要?」
と考えてみます。
例えば、
「今日はイヤホンを使わないから持っていかない」
「このポーチは今日は必要ない」
と減らしていきます。
ADHD向けの支援資料でも、なくしものを防ぐ方法として「持ち歩く物を減らす」「物を置く場所を決める」ことが紹介されています。
⑤ 出かける前に「3点チェック」をする
出かける直前に、
「何か忘れてないかな?」
と考えると、逆に何を確認したらいいかわからなくなることがあります。
そこで、
毎回同じ3つだけ確認する
方法にします。
例えば、
出発前の3点チェック
□ スマホ
□ 財布
□ 鍵
これだけ。
必要なら、
□ スマホ
□ 財布
□ 鍵
□ バッグ
□ 眼鏡
の5つに増やします。
大切なのは、
毎回同じ順番で確認すること。
「考えて確認する」のではなく、
「チェックリストを見て確認する」
ようにします。
チェックリストやアラーム、視覚的なリマインダーは、記憶だけに頼らないための方法としても紹介されています。
⑥ 「なくした!」ときの探し方を決めておく
それでも、なくすことはあります。
大切なのは、
なくしたときにパニックにならないこと。
私は物をなくすと、
「ない!」
↓
「どうしよう!」
↓
「絶対ここに置いたはずなのに!」
↓
家中をあちこち探す
となりがちでした。
そこで、
「探す順番」を決めておく
のがおすすめです。
なくしもの捜索ルール
STEP1:最後に使った場所
↓
STEP2:いつもの定位置
↓
STEP3:移動した場所
↓
STEP4:バッグ・ポケット
↓
STEP5:ゴミ箱・ゴミ袋
↓
STEP6:家族に確認
この順番で探します。
闇雲に探し回るより、
「最後に使ったところから逆戻りする」
ほうが探しやすくなります。
そして、見つからないときは一度立ち止まります。
「絶対ここにある!」
と決めつけず、
最後に持っていたときの行動をゆっくり思い出す
ことも大切です。
⑦ 「なくした後」ではなく「なくす前」に仕組みを作る
一番大切なのは、ここかもしれません。
物をなくしてから、
「もっと気をつけよう」
と思うだけでは、また同じことが起こる可能性があります。
だから、
なくした物ごとに対策を1つ作ります。
例えば、
鍵をなくす
→ 玄関に鍵フックを作る
イヤホンをなくす
→ 専用ケース+定位置を作る
財布をなくす
→ バッグから出さない
スマホをなくす
→ 充電場所を固定する
書類をなくす
→ 「未処理トレー」を1つ作る
このように、
「なぜなくしたの?」ではなく「どうすれば次は探さなくて済む?」
と考えます。
これが、私が思う「仕組み化」です。
ADHDのなくしもの対策は「完璧」を目指さなくていい
ここまで7つ紹介しました。
もう一度まとめると、
ADHDのなくしものを減らす7つの仕組み
- 大切な物の定位置を決める
- 行動とセットにする
- 見える収納を使う
- 持ち歩く物を減らす
- 出発前の3点チェックを作る
- なくしたときの探し方を決めておく
- なくす前に仕組みを作る
全部を一度に始めなくても大丈夫です。
まずは、
「一番よくなくす物を1つだけ」
選んでみてください。
例えば、鍵をよくなくすなら、
「鍵は帰宅したら必ず玄関のフック」
これだけでも十分です。
「またなくした……」と自分を責めないで
物をなくすと、
「なんで私はこんなこともできないんだろう」
「また家族に怒られる」
「ちゃんとしなきゃ」
と、自分を責めたくなることがあります。
でも、
自分を責めることと、なくしものが減ることは別です。
必要なのは、
「もっと注意しよう」
ではなく、
「注意しなくても大丈夫な仕組みに変えてみよう」
という考え方。
ADHDの生活支援でも、アラーム・チェックリスト・視覚的な手がかり・定位置など、記憶や注意力だけに頼らない工夫が紹介されています。
完璧にできなくても大丈夫。
1回なくすことが減ったら、それだけでも仕組みが役に立ったということです。
まとめ|「なくさない人」ではなく「探しやすい人」を目指そう
ADHDのなくしものを完全にゼロにするのは、簡単ではありません。
だから私は、
「絶対になくさない人になる」
ことより、
「なくしてもすぐ見つけられる仕組みを作る」
ことを目指すほうが、ずっと現実的だと思います。
まずは今日、
一番よくなくす物を1つだけ選んで、定位置を決めてみませんか?
「ここに戻す」
という場所が1つできるだけでも、探し物に使う時間を減らす第一歩になります。
探し物に追われる毎日から少しずつ抜け出して、
「あれ、どこ?」と探す時間の少ない暮らし
を一緒に作っていきましょう。